PLAY THE TALK 〜刈田順也+1×刈田順也〜
- INTERVIEW
ダンスイベントオーガナイザーにイベントの主旨、想いを中心にインタビューを敢行。ラフに、自然なインタビューで様々な話を聞き出すのがPLAY THE TALK。第5弾となる今回はストリートダンサーとしてだけではなく、表現者として多種多様な舞台を経験し、究極のオリジナルスタイルを追求し続ける刈田 順也にインタビューを敢行。11/6(日)に開催の舞台『刈田順也+1 Vol.6 「錯覚」』では札幌ストリートダンスの顔「RIKIYA」と共演。札幌ストリートを古くから知る一人として、今のダンサーに向けた様々なメッセージに注目していただきたい。
「当時のストリート、大通り公園での俺の仕事は、知らないダンサーがいたら目の前に行ってひたすら踊るってこと笑。大体のやつは他の場所に行ったよね。」
MAME(以下 M)>刈田さんはいくつになりましたか?
刈田(以下 K)>40歳になったよ。北海道ダンサーで言うとRIKIYA、TACRAZY、TAKA、GEO、Juniorと一緒だね。俺の名前出てないっていう人いたらすいません。笑
M>ダンスは何歳から始めたんですか?昔からストリートダンスですか?
K>ダンスは中2、14歳からだからもう26年やってるね。最初からストリートダンスだね。「ISD」、NEW JACK SWINGが始まりかな。
M>その当時(26年前)の情報源はなんですか?
K>TV番組の「DANCE DANCE DANCE」が主な情報源だったかな。それ以外では、たまにダンスのビデオが出回って来るくらいかな。
M>現在の刈田さんのスタイルにもみえるようなジャンルレスというか、ジャンルに縛られないダンスはその頃の影響もあるんですか?
K>そうだね。「DANCE DANCE DANCE」自体MEGA MIX(※https://ja.wikipedia.org/wiki/MEGA-MIX)の番組だったから、HORIEさん見てBREAKIN’かっけえなあとか、YUKIさん見てLOCKかっけえなあとか、GOTOさん渋いな~とか、BE BOP真似てみたりとか。笑
M>ビデオで印象に残っているものはありますか?
K>WILD CHERRYさんのVIDEOはよく見てたな。時間が過ぎてダンス甲子園が始まった感じ。
M>じゃあ、その頃にはもう既にストリートにいたんですね。
K>いや、札幌出身なんだけど「もみじ台」だったからダンスやってるって言ってもずっと公園で一人で踊ってたんだよ。誰か友達できるかなと思って何年か粘ったんだけど、結局もみじ台では誰とも踊れなくて。困って、中心部に来てみたら人伝えで大通り公園のストリート仲間に出会ったんだよね。
M>そうなんですね。当時の大通りのストリートシーンはどうだったんですか?
K>結構しきたりみたいのがあって、この場所は俺らしか踊ったらダメとか、そういう縄張り争いみたいのはあったね。当時の俺の仕事は、知らないダンサーがいたら目の前に行ってひたすら踊るってこと笑。大体のやつは他の場所に行ったよね。
M>そうなんですね笑。その仕事なかなかないですね笑。僕が知ってる刈田さんは25,6歳の頃だと思うんですけど、その頃はバトルのジャッジとかもしてましたよね。
K>そうだね。その頃はダンスイベントにもよく行ってたね。その前まではイベントとしてのバトルはほとんどなかったからバトルに自分が出るっていう経験は全然ないんだよね。ただ、東京でSound Cream Steppersの10周年があって、BE BOPのバトルに出させられたことはあるね。見事予選落ちだったけど笑。
「プレシャスは行くけど、踊る現場がクラブよりもバーとか舞台とかに変わったんだよね。ダンス界がそっちだけと思うなよ、っていう思いはずっとあるんだよね。」
M>舞台とかの活動に目を向け始めたのはいつ頃なんですか?
K>それも25,6歳じゃないかな?宏次くんに誘われて東京国際フォーラムで舞台あるから一緒にやらない?とか、青山のスパイラルホールで面白そうなのあるからって言われて出るようになったね。
M>やっぱり東京の方が舞台は多かったですか?
K>そうだね。札幌はなかったよね。あってもバレエスタジオの内巻きの舞台公演くらいだったよ。
M>当時、「刈田順也」という名前が載った東京の舞台のフライヤーをよく見てましたが、漢字で「刈田順也」という表記はこだわりがあるんですか?
K>いや~、別に笑。アルファベットで書くのに違和感が出てきただけ。俺「刈田順也」だもん笑。
M>この時期の舞台活動以降あんまり刈田さんをダンスの現場でみなくなった印象なんですが、その辺り、意識してたことはあるんですか?
K>う〜ん。ダンスイベントつまんないって思ってた時期だわ。他のダンサーのショーケース見ても、この名曲のそこでなんで切る!?とか、いちいちMC入ってきて間延びしてるように思ってたんだよね。他人のダンスに興味がなかったよね、あの頃。
M>そういえばプレシャスとかでは会ってましたよね?
K>プレシャスは行くけど、踊る現場がクラブよりもバーとか舞台とかに変わったんだよね。ダンス界がそっちだけと思うなよ、っていう思いはずっとあるんだよね。
M>ここ数年の活動としてはどんな活動を主にやってるんですか?
K>今は、ジャイロキネシス(※http://matome.naver.jp/odai/2139328873770860401)をやりながら舞台活動を主にやってるね。
M>身体を知って、身体を使うっていうのは相当理にかなってますね。
K>身体を使うスポーツ選手とかの中でも、ダンサーが一番自分の身体を解ってないんじゃないかな?どんな動きでどこが伸びるのか、どんな食べ物を食べたら筋肉痛が早く治るのか、ちょっと調べたらどこでも手に入る情報なんだけどね。
M>なかなか考えてる人は少ないかもしれませんね。僕は全然考えてなかったです笑。
「ダンスだけ生の表現者だっていうのは違うんじゃないかな。他の世界から得られるセンスを逃してるね。」
M>若い頃から現在に至るまで、ストリートダンスに対しての考え方の変化みたいのはありましたか?
K>簡単にいうと20代中頃からは全然変わってない。20代前半はバンバン考え方も変わったけど、色々見えてきてからこの業界はもっと大きくなるだろうし、可能性は無限だと思ってた。ただ、此処までデカくなるとは思ってなかったし、この業界が昼のものになるとは全く思わなかったよね。俺はアンダーグラウンドの枠内でクラブとアートの世界をを行ったり来たりしていれば満足だったんだ。全体がそうなるとは期待してなかったよね笑。
M>そうですね、大きな変化ですよね。
K>ただ、やっぱ年齢もあるんだけど、昼に笑顔でいる時間が増えてきて、自分が楽しいっていうことだけじゃなくて自分が伝える側の立場になって、スクールの先生をやってない俺なりにストリートダンスを伝えていければなとは思ってる。若い頃は俺の言うことが理解できない人間は根っからセンスのない人間だと思ってたからね。
M>今の札幌、北海道のダンスシーンの先のビジョンはどう考えてますか?
K>ここまで育ってきて、ダンス人口も増えたんだからこの先は人の畑を取り合うんじゃなくて、自分達のセンスで切り開いて、助け合いながら新しい方向でそれぞれが進んでいけばもっと広がるだろうし、もっと文化として根付いていくと思うよ。
M>センスというキーワードが出たんですが、例えを出すとするとどういったことが具体的なことですか?
K>そうだね。ダンサーはダンスにしか興味がないっていう人がものすごく多い。昔からそうなんだけどね。ダンスが好きっていう気持ちはわかるんだけど、ダンス以外から頂いたセンスっていうものがいかに大切か。ダンサーは生で見てもらいたいって思うよね。じゃあ、他の芸術、表現者のも生で見に行けよって思うのよ。焼き物の個展に行く訳でもなければ、好きな木彫り師がいるわけでもないし、花に興味もなければ、料理やお酒に詳しい訳でもない。ライブや演劇に行く訳でもないのに、ダンスだけ生の表現者だっていうのは違うんじゃないかな。他の世界から得られるセンスを逃してるね。
M>確かに、広がりがないですね。
K>色んな世界のことを知ってて、繋がって業界は広がって行くんじゃないかな。センスは頂くものだと思う。お金のことで言っても実はすごく身近なところにいくらでもあるんじゃないかな。
M>学ぶという姿勢ですかね?
K>うん。というより学ぶということに疲れたんだったらステージから降りた方がいいよね。その先に光はない。俺はそう思う。
M>ぐうの音もでないですね。その通りです。
K>アザス笑。俺、色んなことに興味があるから毎日すっげーワクワクして楽しいぞ!!笑
M>笑。なんか今ここがオススメというスポットありますか?
K>シゲちゃんランド(※http://www9.plala.or.jp/wl-garden/shigechanland/)だね。すげーとこだわ笑。
M>刈田さん的に考える「ダンサー」とは?
K>「ダンサーはステージで躍ってナンボ」ダンススクールの先生はダンス講師。ダンスの振り付けは振付家。
M>そこの部分、僕は10年くらい前から結構考えてるところですね。正直、教え、振り付け、ステージ全部必要かな〜とは思います。ただ割合としてステージが遠のく傾向は、今のダンスシーンでありがちな気がします。
K>「職業欄 : プロダンサー」が世の中に多いからね。ステージで踊ってギャラをもらってなきゃプロダンサーじゃないしょ。ただし、スピーカーの前で朝まで踊り続けている人はダンサーです笑。そういうスペシャルなダンサーは札幌に沢山いるけどね。プロダンサーを名乗るならステージに上がれ、と俺は言いたいのさ、マメ君。
「教えるのは基本好きだけど、俺の動きが基礎になったらまずいでしょ笑。」
M>ダンスを教えるっていうことに興味ありますか?
K>ないかな笑。俺の動きが基礎になったらまずいでしょ笑。この身体だからこの動きになるわけであって、子供たちがこのダンスをして上手く進んで行く確証がないし、責任持てないからやらない。
M>僕、一人だけ刈田さんの弟子だという人を聞いたことあるんですけど、その人から聞いたら、刈田さんの教えはすごかったらしいですね笑。
K>ユーヒか笑。あいつはもう美容室で成功してるから大丈夫なんだけど、あれで本気でダンサー目指してたらどうなってたかね笑。「ごめんなァー」って言ってるかも笑。
M>例えばどんな教え方だったんですか?
K>毎回教える場所が違うからさ~笑。二時間くらい二人でしこたま飲んでダンスの話してから、野幌森林公園に行って、真冬の雪の上でんぐり返し永遠にしてから目をつぶって上向いて、そっからダンスしてみろ!とか。大倉山ジャンプ台に登ってみたりとか。
M>大分カオスですね。でも教えですね。
K>教える、伝えるというのは基本的に好きだからね。
「今回の公演は刈田目線で描くストリートダンサー特有の苦悩と錯覚を表現。」
M>そろそろ本題に入りましょう笑。11/6(日)開催の今回のこの【刈田順也+1】の話ですが、この舞台のシリーズはいつ頃から始められましたか?
K>これは2015年からだね。今回で6回目かな。ストリートダンサー以外の人を呼んで自分も刺激をもらいながらその人にも普段やっていないことをやってもらう。というのがコンセプトだから、俺とミュージシャン、役者、舞踏家、コンテンポラリーとかとやったことがない新しいものをやっていきたいと思ってる。
M>この【刈田順也+1】の目標みたいのはあるんですか?
K>楽しければ続けるんじゃない笑。別に【刈田順也+1】じゃなくても舞台をやってるものもあるし、タイミングあった時に、演出、台本、振り付けが自然に出来ればそれでいいな。今回は初めてストリートダンサー「今井力也」を呼んでやるんだけど、刈田目線で描くストリートダンサー特有の錯覚と苦悩を表現してるんだ。
M>今回の舞台の見どころは?
K>力也の演技だよね。
M>力也さんセリフ言うんですか?
K>言う言う。もちろん。
M>セリフまである演技は初めて見るんですげえ楽しみっす。
K>まあ、あくまでも舞台上では刈田でも力也でもなくとある街のとあるダンサーという設定だけどね。
M>息遣いまで聞こえる会場で、演技…こわいなー笑。
K>表情とか息遣いとか、目の動きが見えるところが好きだね~。
M>それでは最後に刈田さんにとって「ダンスで遊ぶ」というのはなんですか?
K>いろいろ一周回って「スピーカーの前」かな?それまでは、タバコの煙を揺らしてみてそこに身体を合わせてみるとか、Barで他人の会話を聞いてその会話に頭の中で踊りをつけて、直ぐにトイレ行き、実際に踊ってみるとかそんな遊びをしてたけど、今は一周回ってスピーカーの前で自分の主張が音楽を越えてしまわない域でどれだけ自分が踊れるかってとこかな?音楽は授かりものだから。
M>ありがとうございました。舞台、非常に楽しみにしています。
M>それでは今回も最後に恒例の一曲。Insane In The Brain/Cypress Hillでお別れです!
□INTERVIEW:刈田順也
1976年生まれ。北海道札幌在住。全国のホール、クラブ、ライブハウスのイベントや舞台、ミュージックビデオ、映画、CMなど、様々な分野で活躍。近年ではコンテンポラリーの舞台やミュージシャン、役者、舞踏家との共演、様々なジャンルの表現者達とのステージを軸とし、ダンサーが本来あるべき姿を常に模索している。
独特なスタイルと世界観を持つ、北海道独自のヒップホップダンサーである。
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<刈田順也+1 Vol.6 「錯覚」>
http://play-the-dance.com/calendar/刈田順也1-vol-6-「錯覚」/
□INTERVIEWER: MAME(カンタービレ/KING PRO.)
18 歳でアメリカ、ニューヨークにてストリートダンスに出会う。 札幌に拠点を置いてからは、ダンスコンテストで何度も優勝を飾る。 また、ストリートダンスの最高峰である「JAPAN DANCE DELIGHT」を含めた 全国大会に多数出場し、東京・大阪・横浜・京都・名古屋・仙台・青森・沖縄… と全国各地のダンスショーに参加。 各メディアにも出演している。(TV:MTV,HTV,STV etc.)、CM(NTT Docomo, パーラー HABIN,JR Tower etc.)
「自然 × 芸術 × 自分」をテーマに歴史と文化を重んじ、ジャンルにとらわれない 自分らしさを追求している。現KING PRO.代表。
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